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15年ぶりに例大祭が復活 全村避難と火災で社殿焼失...度重なる苦難を乗り越え 福島・飯舘村 山津見神社

福島県飯舘村の山津見神社では、15年ぶりに東日本大震災前と同じ規模での例大祭が復活した。

■懐かしむ人々
「きょうは雪降った。昔も雪降ってたしね、それ思い出した。珍しく雪降ってくれて、雪も楽しみにしてたのかな」と話すのは飯舘村在住の女性。また南相馬市から訪れた男性は「30年前に来た、おじいさん連れてね。その時もやっぱり寒かったのでうどん食べた記憶あるんですよね。それ食べに来ました」と話すようにみんなこの日を待ち望んでいた。

■震災・原発で全村避難 そして火災
山津見神社は、全国でも珍しい「オオカミ信仰」で知られる神社。
村が震災と原発事故で全村避難を余儀なくされていた2013年、神社はまさかの火事によって焼失した。
二重三重の打撃を乗り越えて再建を果たした神社では、2017年から規模を縮小した例大祭が行われてきたが、2025年は名物・茅葺き屋根の茶屋も復活し、3日間の祭りが催される。
実行委員長の阿部猛さんは「ここに戻ってきてよかった。住民がばらばらになっているけど、こういう時だけでも構わないから、戻ってきてもらえれば」と話す。

■大学生がバトンを受け継ぐ
祭りの復活には、地域の若い力も華を添える。
晴れ渡った空の下、力強く響き渡るのは村に伝わる「虎捕太鼓(とらとりたいこ)」。1998年に誕生し、震災前まで例大祭を彩ってきたが、震災と原発事故によりメンバーが離れ離れとなり歴史が途絶えていた。
震災からまもなく15年。いま、そのバトンを受け継いだのは福島大学の学生たちだ。

■復興への思いを乗せて
今年の夏に村で見つかったという楽譜と、わずかに残っていた過去の映像を頼りに手探りで続けてきた練習。大阪出身の福島大学院1年・寺田雄喜さんは福島で進む復興への歩みに心を打たれた。「普通の太鼓と違って、地域住民の方々の心の復興という一役を担っている太鼓。すごく重く受け止めて叩いています」と話す。
リーダー的存在の福島大学3年生・深谷春奈さんは、その情熱と上達の早さから村の人たちも驚かせたといいう。深谷さんは「まずは力強い音、リズムを届けたいなと思っている。私たちの演奏で活気づいてくれればいいなというか、元気になってもらいたい」と話した。

村への移住者も加わって、さらに力強さを増す太鼓の音色。例大祭2日目の12月5日、15年ぶりに例大祭で披露される。