テレビ番組テレポートプラス

もっと!ぐっと!

幕府財政を支えた日本三大鉱山・半田銀山 安彦良和書籍で再び脚光 《もっと!ぐっと!桑折町》

かつて日本三大鉱山のひとつとして江戸幕府の財政を支え、明治時代には銀産出量日本一を達成した福島県桑折町の「半田銀山」。その歴史と現在の姿を追った。

◇【動画で見る】動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます

日本三大鉱山のひとつ

桑折町にある、半田銀山ブルワリー「上町CHEERS」。ここでは、地元の食材を使った料理と一緒に、桑折町産のリンゴ"王林"などを使ったクラフトビールを楽しむことができる。
店名にもある「半田銀山」は桑折町の歴史を語るうえで欠かせない大切な場所。一体どんな歴史があるのかひも解いてみたい。

vlcsnap-2025-10-24-15h01m22s630.jpg

幕府財政を支えた銀山

「佐渡金山」「生野銀山」と並び、日本三大鉱山のひとつに数えられる「半田銀山」。
江戸時代から明治時代にかけて最盛期を迎え、昭和25年まで採掘が続けられてきた。
半田山自然公園近くにある山道を進んでいくと、現れたのはかつて鉱夫たちが出入りしていた鉱山の入り口。
桑折町教育委員会主任学芸員・井沼千秋さんは「江戸時代の真ん中ごろに、半田銀山に非常に有望な鉱脈が発見されて、それ以来、江戸幕府の直営という形で銀の採掘が行われていた。かなり大きな鉱山として発展して、江戸幕府の財政を支えた銀山になっていた」と説明する。

vlcsnap-2025-10-24-15h04m43s789.jpg

銀産出量日本一の偉業

明治時代、全国の鉱山を再開発し「鉱山王」と呼ばれていた実業家・五代友厚(ごだいともあつ)が半田銀山の経営を開始。五代は、トロッコなどの西洋近代技術を取り入れ、1884年には3年連続で銀産出量日本一となる偉業を成し遂げた。
この繁栄の歴史を題材に、漫画界の巨匠・安彦良和が書き下ろした「半田銀山昔語り」が2025年9月に出版され話題を集めている。
学芸員の井沼さんは「機動戦士ガンダムのキャラクターデザインもされた安彦良和先生の、ひいおじいさんが半田銀山にお勤めになって図面を書いていたというご縁で」と話す。

vlcsnap-2025-10-24-15h07m28s812.jpg

日本の近代化の礎

漫画の舞台にもなる半田銀山は、日本の近代化を支える重要な存在だった。
「この半田銀山がなければ、日本の近代化ももっと遅れていたと言っても過言ではないと思います」と井沼さんはいう。

桑折町のまちなかには、歴史を感じることができる「半田銀山遺跡」が残されている。鉱山で採れた鉱石を運ぶために使われていたトロッコの橋脚となった部分は、150年以上の時を経た今も、その姿のまま大切に保存されている。
井沼さんは「これからも引き続き長く残していかなければならない文化財。地元の人に大切にされるような遺跡として保存していきたい」と語る。

vlcsnap-2025-10-24-15h09m09s444.jpg

新世代への継承

この半田銀山を思う気持ちは、これからの町を担う若い世代、そして半田銀山の名前が付いたブルワリーにも受け継がれている。
半田銀山ブルワリー「上町CHEERS」の鈴木翔之さんは「自分の中に刻まれている重要なファクターになっているので、それをフィーチャーしないわけにはいかないかなと。桑折町に生まれたものとしては、そういう思いがある」と話した。
今はサクラの名所など行楽地としても親しまれている半田山・半田銀山。そこには、人々の想いと歴史が深く刻まれていた。

vlcsnap-2025-10-24-15h11m21s157.jpg

お便り募集!

テレポートプラスでは皆様からのお便りを募集しています!

過去の放送内容