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産業と防災 津波被災地・小名浜に1万人収容の新スタジアム構想 地域防災力を強化する新たな取り組み

11月5日の「津波防災の日」に合わせて、福島県内沿岸の10の自治体、約700の施設が一斉に「シェイクアウト」という訓練を行った。突然の地震から身を守るために自分が今いる場所で速やかに安全行動をとる、という訓練なのだが、双葉町の伝承館では、スタッフの他に来館者も参加した。
地域の拠点となる場所では、多くの人が集まることを想定した防災面の強化も必要だ。

新な賑わい 小名浜地区

福島の海の玄関口・いわき市小名浜。季節の訪れを告げる海産物の水揚げで活気づく港の周辺では、2025年に観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」が道の駅として生まれ変わり、常磐道と港を結ぶ自動車専用道路「小名浜道路」が開通するなど、新たなにぎわいが生まれている。
さらに、サッカーJ2・いわきFCが新スタジアムの候補地としているのが小名浜で、J1昇格のための基準を満たすホームスタジアムを2031シーズン開幕までに完成を目指す計画だ。

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産業と防災

新スタジアムの収容人数は1万人程度で、試合がない日も利用できる多機能型の施設となる構想。そこで心配となるのが「津波への対応」だ。
11月10日、東京大学大学院の客員教授で防災マイスターの松尾一郎さんやいわき市の担当者などが集まり、スタジアムを訪れた観光客、近隣施設を含めたスタッフ、周辺の住民の命を守る対策について話し合った。
いわき市によると、東日本大震災で小名浜には約7メートルの津波が到達。新スタジアムの整備にあたっても緊急避難場所や避難経路などを設定し、避難時間を計算するといった方針が関係者の間で共有された。
いわきスポーツクラブ大倉智社長は「未来の子ども達のために何か残せて、いわきがスポーツによる地方創生のモデルケースになれるように、地域の強靱化計画も含めて実現できればと思っている」と話す。

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交通対策も課題

また、災害時はもちろん平時からも課題になるのが交通対策だ。平均的な試合で、700台から2800台ほどの駐車場が不足するという試算もあり、シャトルバスなどを活用して移動するパークアンドライドや、1972年に旅客輸送を廃止した福島臨海鉄道の活用などが検討されている。
協議会の会長で日本女子体育大学の上林功教授は「それぞれの関連施設が全部協力することによって、小浜港全体が強くなるという風な考え方が非常に重要になると思う。スタジアムを契機とした、スタジアムコンプレックスと呼ばれるような、エリア全体の防災力を高めることにつなげることが非常に重要だと思う」と語った。
新たな産業を、防災の視点からも支え、地域全体をより魅力的に。そしてより強く。小名浜の新たな挑戦が始まろうとしている。

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地域全体の防災力強化に

いわき市が実施したwebアンケートによると、新スタジアムの整備後「年間11回以上は訪れたい」という人が6割を超えている。この結果からも多くの人が集まり賑わいが生まれるだろうと想定される。
協議会に参加する防災マイスターの松尾さんは「小名浜港の立地環境から、車を使って来る人も多い。今後公共交通機関の再整備や検討も必要だし、津波に備えた防災対策も必須。今回の協議会が素晴らしいのは、専門家だけではなく、小名浜港エリアの様々な施設管理者や行政など当事者による会議体であること。これはコミュニティレジリエンスと称して、皆で考え、皆で解決策を検討していくことになる」と話す。
「多くの人が集まる」ということを力にして、地域全体がそれを支える防災力を持つように成長するのが理想となる。

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