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防災大百科

10月のテーマは「地域防災」
『今は防災情報の洪水時代 見方が分かると生きる情報 情報難民にならない 日ごろの努力』

東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家
「防災マイスター」の松尾一郎さんと「新しい水位計・危機管理型水位計」について話をする。

【地域の防災力向上に欠かせないのが "情報"】
自分たちが住むエリアに潜む危険を事前に把握し、どの程度危険が迫っているか判断するための情報を得ること。
2018年度まで福島県が管理する河川の監視体制は少し心細いものだった。

491ある河川のうち常に水位を観測していたのは83河川・17%に留まっていて、
多くの河川は水位の変化に気付きにくい状況だった。

<なぜこのような状況だったのか? 松尾氏に聞く>
2017年の九州北部豪雨や2018年の西日本豪雨で中小の河川が氾濫して多くの方が犠牲に。
そのため国や県は簡易な水位計を多く設置し情報を伝えるなどの対策に乗り出している。


【監視体制が心細いものだった福島県。今年度水位計の設置が進められている】

2019年9月、福島県内に暴風雨をもたらした台風15号。
いわき市や福島市では、一部の河川で氾濫の危険が高まり、
流域の住民に県内で初めて「レベル4」に該当する「全員避難」が呼びかけられた。

この時、いち早く水位の上昇を把握していたのが新しいタイプの水位計だった。

福島河川国道事務所 古賀博久調査第一課長
「電波を発信すると、その跳ね返りで水位がわかる仕組みとなっている」

<2019年の春から本格的な運用が始まった「危機管理型水位計」>
水位が上昇した時にだけ水の高さを計測する。
現場に行かなくとも水位が分かるようになっていて
スマートフォンなどでリアルタイムの水位が分かるようになっている。
平常時は「青色」だが、危険水位を超えると「赤色」に変化するため
どこの河川に危険が迫っているのか一目で分かる。

<福島市の濁川が9月の台風15号で危険水位に達した当時の水位の記録>
午前8時頃に水位が上昇し始め、
約6時間後には堤防の高さにあと1メートルまで水が迫っていた。
この水位計は県内の約350ヵ所に設置が完了していて、
河川を監視する水位計の数は以前の3倍に増加した。

福島河川国道事務所 古賀博久調査第一課長
「台風15号の際には常時観測の水位計に加えて、
危機管理型水位計も稼働したので、普段であれば遠いところの水位しかわからなかったところが、
皆様の自宅に近いところの水位もわかるようになった。そうすると、より身近に切迫感が伝わるので」

<国は2020年度までに水位計を全国8700ヵ所に整備>
きめ細かく情報を提供し、住民の避難や命を守る行動に結び付けることを目指している。

国土交通省河川情報企画室 平山大輔室長
「河川の情報を発信するベースが、これで大体揃ってくるので、
あとはこの情報をしっかりと住民の皆さんの避難行動に結びつけていくことを、
今後は利用してもらえるような形で浸透させていきたいなと思っています」


【「危機管理型水位計」は現在、福島県が管理する214の河川に整備】

福島県の担当者は「人口が集中する場所はある程度カバーできた」としていて、
その上で、自治体の要望を聞きながらさらに数を増やすことを検討している。

<なぜ、ここまで整備が急激に進んだのか? 松尾氏に聞く>
設置コストの安さ。常時観測型の水位計の10分の1以下に当たる100万円程度で設置できる。
課題は誰にでもわかる情報にしなくてはいけないということ。


【「川の防災情報」で検索】

この危機管理型水位計のデータは国土交通省が運営する「川の防災情報」のホームページで公開
「川の水位情報」をクリックすると全国各地のデータが確認できる。

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