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大堀地区での開業を目指して 2人若者が窯元での修行をスタート 大堀相馬焼を未来へ

東京電力・福島第一原発から約10キロの距離にある福島県浪江町大堀地区。ここに伝統工芸品・大堀相馬焼がある。2023年3月に一部で避難指示が解除されたが、約20の窯元のうち故郷に戻れたのは陶吉郎窯だけ。今も原発事故の爪跡が残る大堀地区で、伝統を未来へつなげようと2人の若者の挑戦が始まった。

未来を見つめる窯元

福島県浪江町で300年以上の伝統を誇る、大堀相馬焼の窯元「陶吉郎窯」の近藤学さん。
この日、新作約500点の展示や地元の鈴木酒造店とコラボした日本酒のイベントなどが行われ、訪れた人たちを楽しませていた。

震災前、浪江町には2万1500人ほどが住んでいたが、現在は10分の1ほどだ。そんな中、窯元を志す2人の若者が町に移住した。福島県郡山市出身の伊藤礼香さんと、神奈川県出身の青木映真さんだ。
青木さんは「まだ越して来てから日が経っていないので、浪江の事もまだまだ知らないけど、お話を聞けて貴重な機会だなって思っています」と話す。

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大堀相馬焼を学ぶ

大学で陶芸などを学んだ2人は、インターンをきっかけに大堀相馬焼に魅了され、2025年4月から地域おこし協力隊として近藤さんの元で修行している。
協力隊任命式から数日後、福島県いわき市にある「陶吉郎窯」では伝統の登り窯に火が入れられ年に一度の作品作りが始まった。
2人にとっては初めての登り窯の火。近藤さんの指導に熱心に耳を傾ける。
近藤さんは「若い人と一緒にやれるということは、大堀相馬焼の将来にとっても、すごく大事なこと。今年は今までの登り窯とはまた違った意味での希望を持って、焼けるというような実感」と語る。

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初めての体験 火と向き合って

火入れから3日目。朝晩問わず向き合う登り窯内の温度は、約1200℃にもなる。青木さんは「自然の力というか、火の力強さを感じています」と話す。近藤さんは「今回は、2人が薪を運んでくれているので、その間ちょっと椅子に座って休める。全然違うね」と2人の存在に目を細める。
青木映真さんと伊藤礼香さん、休憩中に語り合うのは将来の夢だ。
「窯元名は貫録ある感じにしたいね」「真、香、『真香窯』」

5日間の焼き上げと、11日間の冷却を終えた作品が登り窯から取り出された。
伊藤さんは「受け取った作品一つ一つの色や質感が全然違くて、すごく素敵だなって思いました」と話す。
近藤さんは「2人にとっては、今まで経験がないような事。だから一つ一つがすべて勉強になると思う。彼女たちが目標とするものが達成出来るように、しっかりと一緒にやっていきたいと思います」と話した。

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大堀地区である意味

窯元を目指す2人がこだわるのは、大堀地区での開業だ。
伊藤さんは「やはり名前に大堀という地名が付いているので、別の場所でやってしまうと、その意味が薄れてしまうのかって思いがある。大堀の再建に自分も加わりたいという思いがあって、自分もこちらに来ました」と話す。
浪江町の人たちが「素晴らしい伝統を守って。本当にうれしいですよね」「なかなか地元の人も帰って来ない中で心強い」というように、その想いは多くの人に届いている。

青木さんは「私たち若い世代が大堀でやることによって、これからの未来に引き継いでいければと思っております」という。
かけがえのない伝統を未来へ。2人の挑戦は始まったばかりだ。

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