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裏方から騎馬武者へ 相馬野馬追の女性参加条件撤廃 30歳上原さん「一女性騎馬武者として格好良く堂々と」いざ出陣

相双地方で1000年以上続く伝統の相馬野馬追。これまで設けられてきた女性の参加条件が2025年から廃止された。初めて出陣する上原彩乃さん(30)は「自分自身も成人じゃなかったら出られたのかな?という気持ちを持ちながら裏方の仕事をしていた」という。憧れの「相馬野馬追」に新たな歴史を刻もうとしている。

武士の姿を追求 女性参加に条件

「相馬野馬追」は、相馬中村藩の軍事訓練として始まり、震災・原発事故がおきた年にも続けられた。
野馬追への女性の参加が解禁されたのは、戦後。ただ、「武士」の姿を追求するため1984年に一定の条件が設けられた。それが「20歳未満の未婚者」というものだった。
しかし、保存・伝承の観点から議論が進められ、2025年に女性騎馬武者の年齢制限の条件が撤廃された。

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継承するため 時代の課題に向き合う

相馬野馬追の歴史に詳しい南相馬市博物館の館長・二上文彦さんは、女性騎馬武者の年齢制限の撤廃は、伝統を残していく上で大きな出来事の一つであると考えている。
「武家の伝統を受け継ぐ行事として、何を守るべきなのか、どこを変えていくべきなのか、時代によって色々課題はある。その課題に真剣に向き合って、武士らしさとか追究しながら関わっている人たちが研さんをしながら、これからも残していく行事が野馬追」と二上さんはいう。

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立派な騎馬武者に

初陣を迎える上原彩乃さんは「出られると分かったとき、素直に出たいと思った」と話す。幼いころから野馬追を見て育ち、出陣を望んでいた上原さん。イチから乗馬の指導を受け、必死に技術を身につけようとしている。
「最初は馬に乗るだけでも緊張して怖かった。馬の乗り方、あぶみの足のかけ方、姿勢や手綱の持つ位置など、頭では分かっても実際に身体を上手くそこに落とし込むのがまだ慣れない」と上原さんは話す。

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初陣を支える人たち

『立派な騎馬武者になる』その思いに、周りの人も突き動かされている。馬術を指導する根元伸一郎さんは「今は自分の方から率先して鞍に跨がれるという状況になって、なおかつちょっと馬の動きにもだいぶついてこられるようになってきた」と話し成長を感じている。

上原さんが「お父ちゃん」と呼んで慕う持館孝勝さんは、自身も50年以上、相馬野馬追に出陣してきた。練習場所や馬を貸して、上原さんの初陣を支えている。
持館さんは「相馬野馬追への出陣は、頼まれてはできない。本当に好きでないとダメ。上原さんは、大丈夫じゃないですか。やる気満々だから」と太鼓判を押す。

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伝統に敬意をもって いざ出陣

上原さんは「こうやって周りの方々の協力のおかげで、ここまで至ることができた。いまは緊張しているけども、楽しいという気持ちが大きい。長い歴史のある相馬野馬追なので、その伝統に対して敬意をもって精一杯取り組んでいきたい。一女性騎馬武者として、当日格好良く堂々と馬に乗れるように、当日まで練習していきたい」と語った。

伝統を受け継ぎながら、新たな歴史を刻む。その決意と覚悟を胸に出陣する。

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