テレビ番組テレポートプラス

特集

一着55万円のスーツ その値段の理由を探る 「洋服には夢がある」原点回帰の老舗スーツファクトリーの挑戦

サラリーマンの必需品"スーツ"だが、ビジネスファッションの変化やファストファッションの影響で、"スーツ離れ"が止まらないという。総務省の家計調査でスーツ購入額をみると、1991年には1万9000円を超えていたのが、2024年は3892円と約2割まで減少した。こうした厳しい状況のなか、福島県にあるスーツファクトリーが大きな挑戦に打ってでた。

◇【動画で見る】動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます

服作り 原点へ

イタリアのテーラリング技術を取り入れた国内有数のスーツファクトリー「本宮三東スーツ」。6月12日に福島県本宮市の店舗でお披露目されたのが、完全オーダーメイドで税込み「55万円」の超高級スーツだ。
スーツ離れも叫ばれるなか、一体なぜ高級スーツの販売に踏み切ったのか?...代表取締役の佐藤恵一さんは「ここ30年ぐらいファストファッションの台頭に伴い、安さにあまりにもとられすぎてしまったのが一番大きな問題だと思う。本来、服は夢のある商品。夢ってどうやって作るの?というと、食べ物と同じように最高の素材を使って、最高の職人が仕立てていく。そういう商品をもう一回、我々はしっかり作っていきたいという思いで今回プロデュースした」と語る。

vlcsnap-2025-06-18-14h51m26s201.jpg

手作業が必要なスーツ

最高級の生地に使われているのは、希少で超極細な羊の毛「Super210's」。深いツヤ感と比類のない柔らかさが実現されている。しかし、非常にデリケートなため、加工には高度な技術が必要なのだとか。
その技術を探るべく、一日80着のスーツを製造する工場へ。案内してくれたのは、スーツ作りに携わり40年以上の工場長・佐久間春男さん。
佐久間さんは「この生地の場合、ミシンで高速で縫うのができない。手作業の部分を多くして作り上げた」と説明する。

vlcsnap-2025-06-18-14h51m56s140.jpg

最高の素材を 最高の技術で

現代のスーツ作りでは行う機会が減っている手縫い。佐久間さんは、その作業をただ一人許されているという。手縫いで行う部分の一つが「ボタンホール」。機械で行えば、たった5秒で一つが完成するが、生地の風合いが消えてしまうという。柔らかい生地になじむよう、新スーツは手縫いを採用。手縫いでは1つ作るのに30分かかるそうだ。
ミリ単位で細部に光る匠の技。佐久間さんの手縫いにより新スーツの製造が実現できた。「今回あそこまでできたのは、最高かなと思う。困難な生地もこれからやっていかないと、業界の中で生きていけないと思うで、挑戦しながらやっていこうと思う」と佐久間さんは話した。

vlcsnap-2025-06-18-14h56m15s487.jpg

完成したスーツは見た目の美しさもさることながら、極上の柔らかさで最高の着心地を実現している。「洋服には夢がある」とする本宮三東スーツ。機械化と逆行する老舗スーツファクトリーの挑戦は、ものづくりの本質を思い出させてくれる。

vlcsnap-2025-06-18-14h51m39s039.jpg

お便り募集!

テレポートプラスでは皆様からのお便りを募集しています!

過去の放送内容