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復興への思いを込め始めたワインづくり 潮風浴びて育ったブドウを使った初めての新酒 とみおかワイナリー

すっかり秋の空気に包まれた福島県富岡町。来場客がグルメと一緒に楽しんでいたのが新酒のワインだ。太平洋の海岸線から300メートルの場所にある「とみおかワイナリー」の海風を浴びたワイン。気になるその味は?
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実りある町ふたたび
2025年5月にグランドオープンした「とみおかワイナリー」では、9月20日・21日に初めての「収穫祭」が開かれ、甘く実ったブドウを味わった。
福島県いわき市から訪れた16歳は「最初甘くて、その後酸味が来る感じでおいしい。お酒が飲める年齢になったら、飲んでみたい」と話した。
東日本大震災と原発事故で一時、全町避難を余儀なくされた富岡町。ふるさとをまた実りのあるまちにしたいと、遠藤秀文(えんどうしゅうぶん)さんは、9年前から有志で集まった町民とワイン用のブドウ栽培を始めた。
第一歩...初めてのワイン
少しずつ増えたブドウの木の数は、震災前の町の人口と同じ約1万6000。2025年9月には収獲したブドウで初めて仕込んだ新酒「フェダーバイザー」を振る舞えるところにまでこぎつけた。
とみおかワイナリーの社長・遠藤秀文さんは「すべての工程が富岡内で全て完結するということで、本当に10年近く掛かりましたけど、やっと第一歩踏めたなって思います」と語る。
味わった人たちからは「フレッシュでおいしかった。優しい味わいだった」「作り手の人の情熱も感じて、これから成長していくという話も聞いたので、これからもまた飲みに来たい」と話した。
ここでしか作れないワイン
海風を浴びたブドウを新鮮なままワイナリーで醸造できる、まさに「ここだけのワイン」。2025年春には1万本を超えるワインが完成する予定だ。
遠藤社長は「潮風を浴びてブドウの中に、少し塩味が増してくる。今年は幸いに、ブドウの出来も収量も非常に良い。良い状態でこの富岡のワイナリーで醸造できるということで、今まで以上に多分品質は格段に向上していくのでは」と話した。
この場所でしか育てられない味がある。「収穫の秋」はこれからが正念場だ。